先日の人形町楽琵会は、今一番活躍している若手二人を迎え、気持ち良く演奏出来ました。若者の感性は素晴らしいですね。柔軟だし技もしっかりしているし、身体能力も高い。若さゆえな部分もあると思いますが、この勢いが今の日本には必要だと感じました。これからは有能な若手ともどんどん組んでやって行きたいです。御来場の皆様ありがとうございました。
そして10月9日には琵琶樂人倶楽部の開催200回目となる記念回を迎えます。
丸々17年、長いことやっていますが、私には毎月の恒例行事みたいなものなので、あまりに日常過ぎて長いことやっているという感じがほとんどしません。年齢も17歳年をとっているはずですが、あまり鏡を見ないせいか、見て見ないふりをしているのか(?)気分だけは、始めた頃と全く変わりません。
100回目の時は少し広い所を借りてやったのですが、今回はいつものヴィオロンでやる事にしました。
節目の会なので、私が一番メインとしている器楽曲、それも一番前衛的なものを集めてやります。ゲストは器楽曲をやるには最高の相方達、尺八の藤田晄聖君、MSの保多由子先生、Vnの田澤明子先生の3人です。



毎年秋には周年記念がありますので、ゆっくりと振り返るのですが、とにかく総てが私の糧になっていると感じます。そしてこの琵琶樂人倶楽部には多くのゲストの方に来ていただいていて、特に100回目を越した時から毎回様々なジャンルのゲストを迎えています。100回目までは薩摩・筑前の流派の方もよく声を掛けさせていただいたんですが、薩摩・筑前の弾き語り曲は歴史もまだ100年程で、そのほとんどが大正~昭和の戦前にかけて作られたもので、それ以降はほとんど新作が作られていないので、今は年に一度の薩摩と筑前の聴き比べの時だけですね。ちなみに来月は17周年の記念回という事もあり、その聴き比べをします。筑前琵琶の鶴山旭祥さんを迎えて開催しますので、近代琵琶樂にご興味の方は来月是非お越しください。近代ものは各流派にお任せして、琵琶樂人倶楽部では近代以外の、古代、中世、現代の琵琶樂を紹介する事に努めて、樂琵琶、平家琵琶、そして現代作品という具合に、なるべく琵琶樂の豊かな広がりを感じて頂きたいと思って企画しています。
私は器楽としての琵琶樂を最初から強力に押し出してやって来ました。弾き語りのCDもリリースしたりしてきましたが、やはりメインの活動は器楽曲です。
またここ5年程でまたその器楽志向・前衛志向に更に拍車がかかってきました。今回のゲスト、Vnの田澤先生、Msの保多先生など、洋楽のハイレベルな音楽家との邂逅があったおかげです。自分の中にずっとくすぶっていた世界が一気に、お二人との出逢いで形となって噴き出してきて、納得のいく器楽曲が出来上がってきて、やっと自分の音楽の一つの完成が目の前に来ている感じがしています。
「Voices」(Ms・Vn・琵琶)を始め、「二つの月」(Vn・琵琶)、「君の瞳」(Vn・琵琶)、「東風(あゆのかぜ)」(琵琶独奏)等、ここ数年で自信をもって自分の作品だと言えるものが出来上がってきたことは本当に嬉しいです。この秋のレコーディングでは活動初期に収録した龍笛と樂琵琶による「凍れる月」の続編、第二章(Vn・樂琵琶)、第三章(篠笛・薩摩琵琶)、第四章(樂琵琶独奏)の3曲も収録します。これらも今後の重要なレパートリーになって行くだろうと思っています。また初期の作品「in a silent way」「太陽と戦慄第二章」も今後再アレンジして再演して行く事になると思います。今回の200回記念回では、「凍れる月」第二章の演奏をします。
私は琵琶と出逢って、自分の音楽を具現化することが出来ました。ギターは子供の頃から弾いて来たので、器用には弾けますが、ギターではどうにも私の音楽は姿を現してはくれませんでした。琵琶に導かれ辿り着いたのは運命なんでしょうね。これからは更に琵琶の作品を作り続け、遺して行きたいです。演奏会もどんどんとやって器楽としての琵琶樂を広めて行きたいと思っています。
2024年10月9日(水)
時間:19時00分開演
料金:1000円
出演:塩高和之(琵琶)
ゲスト 保多由子(Ms)田澤明子(Vn)藤田晄聖(尺八)
演目:「東風(あゆのかぜ)」~琵琶独奏 「Voices」~Ms・Vn・琵琶
「君の瞳」~Vn・琵琶 「まろばし」~尺八・琵琶
「凍れる月」~Vn・樂琵琶 他
今回ばかりは込み合うと思いますので、お越しいただける方はご一報を。あと数席空きがござます。
是非聴きに来てくださいませ。